寺山修司の競馬エッセイ・シリーズ

これまで様々な馬本、競馬本を読んできたけれど、一番好きなのは、寺山修司の競馬エッセイ。

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競馬に関係なくとも本を読むのは好きなので蔵書は多いのですが、最も大切にしているのは、この新書館の寺山修司の競馬エッセイ・シリーズ全7冊。

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最初の数ページにはモノクロ写真も。


このうち『馬敗れて草原あり』と『競馬への望郷』は、大学生の時に角川文庫で買って読んでいたし、『競馬放浪記』はハルキ文庫で読んでいたけれど、その他の『競馬無宿』、『旅路の果て』、『山河ありき』、『さらば、競馬よ』は未読だったので、新書館から寺山修司競馬全エッセイ完全復刻が出版されると知った時は嬉しかった。しかし、残念ながら今ではもう絶版になってしまったようです。

昔に書かれたものだから、登場する競走馬や騎手、調教師の現役時代を私は知らない。それでも面白いと思えるし、折に触れて読み返すほど好き。

例えば『競馬無宿』の「英雄の存在しない時代——ダービー観戦記」の中の一節。

ハイセイコーの敗北は、ただの一頭の馬の敗北ではなかった。そのことの意味は、おそらく一夜あけたあとでこそファンの心に深くよみがえることだろう。それは、私たちの時代には、もはや英雄などは存在しない、そんなものは必要ではない——というメタファーだったのだ。それが、政治化されず、たかが数頭の馬のレースだったとしてもだ。私はハイセイコーの王座をくつがえした、嶋田とタケホープに拍手を惜しまないが、それよりもすばらしかったと思うのは、競馬そのものが抱えている時代の比喩だった。
第四十回ダービーは私たちに教えてくれたのだ。「偶然のない人生などというものは、存在しないのだ」と。



寺山修司のような競馬エッセイを書いてくれる作家はもう現れないかもしれない。

馬敗れて草原あり (寺山修司競馬エッセイ・シリーズ)
競馬無宿 (寺山修司競馬エッセイ・シリーズ)
競馬への望郷
旅路の果て (寺山修司競馬エッセイ・シリーズ)
山河ありき (寺山修司競馬エッセイ・シリーズ)
競馬放浪記 (寺山修司競馬エッセイ・シリーズ)
さらば、競馬よ
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